「自己主張できる子になりなさい」という欧米諸国の教育方針に対して、日本の教育方針は「思いやりのある子になりなさい」と協調性や連帯感が重んじられる傾向にあります。協調性を持つことはとても大切ですが、一方で、自己肯定感が低い子になりやすいと問題視されているのも事実です。
そこで今回は、自己肯定感が低いとどのような影響があるのか、また自己肯定感が低い子どもの特徴や原因について解説します。後半では、自己肯定感を高める子育てのポイントについてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚を意味します。
では、自己肯定感が低いとどのような影響があるのでしょうか?
自己肯定感が高い子どもは、「自分にもできるかも!」と新しいことにチャレンジしたり、自分の意見がハッキリと言える様子がうかがえます。対して自己肯定感が低い子どもは、何事に対しても無気力で、「自分なんてどうせできっこない」とマイナス思考になったり、攻撃的になる傾向があると言われています。
自己肯定感が低いまま大人に成長すると、例えば、学歴や年収といったステータスに異様に固執するようになったり、恋人や友人に依存するようになったり、何事も否定から入ってしまうようになったりと、生きづらさを感じやすくなります。
自己肯定感が高い人と低い人の差は、幼少期の親の接し方で決まると考えられているため、子どもの頃に親がどれだけ自己肯定感を高めてあげられるかがポイントとなるのです。
次に、自己肯定感が低い子どもにはどのような特徴があるのか、よく見られる傾向をご紹介していきます。
自己肯定感が低い子どもの特徴1つ目は、チャレンジしない傾向がある点です。
失敗した自分を認めたくないという心理が働いて、物事に全力で取り組もうとしなかったり、本気を出さなかったりする行動が見られます。
また失敗することを恐れるため、必ず成功するような簡単なことしか取り組まない子もいます。
自己肯定感が低い子どもの特徴2つ目は、見栄を張りたがる傾向がある点です。
これは、他人から「すごいね」「偉いね」と高い評価を得ることで、「自分は価値ある存在なんだ」と安心したい心理が働いているためと考えられます。なかには、人によく見られたいがために、話を誇張する子や、嘘をつく子もいます。
自己肯定感が低い子どもの特徴3つ目は、「どうせ自分なんて」と否定的な言葉を使う傾向がある点です。また、人から褒められても「何か他の目的があるのでは?」と疑ったり、指摘やアドバイスを受けた時に素直に受け取ることができない様子も見られます。
親から否定されることが多かったり、過去の失敗がトラウマになっている子どもに多い特徴で、このような経験から自分が信じられなくなり、全ての物事に対して受け身の姿勢になってしまうことが原因だと考えられています。
自己肯定感が低い子どもの特徴4つ目が、親や友達といった身近な存在に依存する傾向がある点です。親や友達と一緒でないと何もできず、自分よりも友達のしたいことを優先する言動が見られます。
本来、子どもは親から適切な愛情を受けて「ありのままの自分で良いんだ」という感覚を身に付けるのですが、過保護や過干渉な環境で育つと自発的に考えて行動する機会が奪われるため、「誰かがいないと何もできない」と思い込むようになってしまいます。
その結果、自己肯定感が低くなり、身近な人に依存しやすくなったり、他人から自分がどう見えているのかを強く気にするようになると考えられています。
自己肯定感が低くなる原因は、過去の経験や学校教育など様々なものが考えられますが、子どもの場合は親の接し方が大きなウェイトを占めると言われています。
ここでは、子どもの自己肯定感が低くなる親の接し方について見ていきましょう。
怪我や失敗を恐れて親が先回りをしてしまう、子どもの失敗に対してつい厳しい態度を取ってしまうなど、子どもに完璧な状態を求める行動が、子どもの自己肯定感が低くなる原因の一つだと言われています。
また完璧主義とは行かないまでも、「100点取って偉かったね!」など結果に対して評価することが多かったり、片付けを親がしてしまうなど子どもに自分で解決する機会を与えないのもこれに該当します。
このような接し方は、子どもが失敗を恐れてチャレンジすることを諦める要因になりかねないので注意が必要だと言えます。また、子どもが劣等感を抱きやすくなるのも、このような親の接し方が影響すると考えられています。
「なんでそんなこともできないの?」「まだあなたには難しいでしょ?」といった否定的な言葉や、「早く宿題しなさい!」というような命令口調も、自己肯定感を低くする原因となります。
このような声かけが頻繁に行われると、子どもは自信を喪失し「自分なんてどうせ…」と思うようになったり、素直な気持ちが表現できなくなる傾向にあります。
兄弟・姉妹やお友達など、他人と比較して評価する行動も、子どもの自己肯定感を下げる要因となります。
このような接し方は、子どもが「自分はダメな子なんだ」と自分を否定するようになったり、他人と比較して自分を評価する癖がつくようになってしまいます。
とは言え、人と比較して自分を評価するのは、必ずしも悪いことではありません。例えば憧れのプロ野球選手と自分とを比較して努力目標を持ったり、過去の自分と比較して成長を感じるプロセスは素晴らしいことだと言えるでしょう。そのため子どもと接する時は、「良い比較」と「悪い比較」を意識して声かけしてみてください。
子どもの意見より親の意見を通そうとしたり、子どもの気持ちや決断を尊重しないのも、子どもの自己肯定感や自尊心を下げる原因となります。
このような接し方を続けていると、子どもは自分で物事が考えられなくなり、親や友達に依存しやすくなってしまいます。また、人の話が聞けない・他人に興味がなくなるなど、物事に興味関心を示さなくなる恐れもあるでしょう。
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どうすれば子どもの自己肯定感を高めることができるのでしょうか。最後に、子どもの自己肯定感を高める方法について、具体的な声かけ例と共にご紹介していきます。
子どもの自己肯定感を高めるには、子どもの目線に立って、気持ちに寄り添うことが大切です。
例えば、宿題するのを渋っている子どもに対して「早く宿題しなさい!」と命令するのではなく、「疲れたよね、お母さんも動きたくないわー。でも夕飯作りだけ頑張るから、その間に○○も宿題終わらせるのはどう?」と、子どもの気持ちに共感しながら提案します。
共感というコミュニケーションが家庭内で当たり前になることで、子どもは「自分の意見を伝えても、親に否定されることがない」と安心することができ、自己肯定感が高まっていきますし、子ども自身の共感力もアップします。共感力が高まると、思いやりのある子どもに育ってくれるでしょう。
子どもの自己肯定感を高めるには、「あ〜失敗しそうだな」と思っても、子どもの意思を尊重することです。失敗を通して考える力が育ち、また「親から頼りにされている」「認められている」と承認欲求も満たされます。
さらに、子どもが何かに取り組もうとしている時は、「失敗しても大丈夫だよ」「何があっても味方だからね」と伝えることで、挑戦する力も育っていきます。
とは言え、他人に迷惑をかける行動を認めるのはNG。理由を伝えた上で、他に方法がないか一緒に考えると良いでしょう。
子どもの自己肯定感を高めるには、結果ではなく過程を褒めることがポイントです。例えば、部屋の片付けや歯磨きなど、親の本心としてはやって当たり前と思うような行動に対しても、感謝の言葉を伝えたり、褒めることで、子どもは自分の行動に対して自信が持てるようになります。
また、たとえ失敗しても否定せずに受け入れることで、小さな成功体験が積み重なり、自主性やチャレンジ精神が育っていきます。
ちなみに、褒める時にハイタッチを取り入れるのもおすすめです。ハイタッチを交えることでより達成感や喜びを感じることができ、さらに、触れ合いによってオキシトシンという幸せホルモンが分泌され、安心感やストレス解消にも繋がると考えられています。
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今回は、自己肯定感が低い子どもの特徴や原因となる親の接し方、自己肯定感を高める方法についてご紹介しました。
自己肯定感が低い子どもは、「どうせ自分にはできない」「頑張っても失敗する」といった思考に陥りがちです。一方で、自己肯定感が高い子どもは「できるかもしれない!」「挑戦したい!」と、何事にも積極的な態度を見せます。
自己肯定感を高める取り組みは、何歳からスタートしても遅くはありません。不安を感じているご家庭は、今回ご紹介した方法を取り入れてみてくださいね。
なお、私たち個別教育Canでは、学習面だけでなく、お子さんの自己肯定感を高める指導にも力を入れています。家庭内で解決することが難しいという方は、ぜひ個別教育Canにお越しください。
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そのため、大学生のアルバイト講師はとらず、先生が全員正社員の個別指導塾であることにこだわっています。
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